2019年07月02日
日本の税の歴史
第二次世界大戦後に、アメリカの影響の下、申告納税制度や所得税の総合課税を中心とするいわゆるシャウプ税制が昭和25年に施行され、現在の我が国の税制の基礎が形成されました。
シャウプ税制は理論的な税体系を目指したものでしたが、戦後復興期の社会経済の実情や執行上の困難性等を理由として、昭和28年以降に、富裕税や累積的取得税制度などが廃止されたほか、資本の蓄積と経済の発展を図ることなどを目的として、様々な租税特別措置が導入されました。また、高度経済成長期である昭和30年代から40年代にかけては、道路等の社会インフラの充実を図る観点から、揮発油税等をその財源として充てることとされ、財源確保のための税率引上げ等が行われました。
昭和40年代後半には、不況対策のための所得税減税や、政策税制の見直しが行われ、昭和50年代には、50年不況による歳入欠陥の発生以降、財政危機を打開するため、間接税の増税、法人税率の引上げや租税特別措置の整理・合理化などが行われました。
また、この時期には、国民に広く薄く負担を求める一般消費税などが議論されましたが、実現には至らず、課題として残されることとなりました。
昭和62・63年にかけては、高齢化、国際化などの経済社会の構造変化にあわせ、所得・消費・資産等の間でバランスのとれた税体系の構築を目指した抜本的税制改革が行われました。
具体的には、所得税や法人税の減税とともに、間接税制度の整理・合理化と合わせて税率を3%とする消費税が平成元年4月から導入されました。
その後も、経済社会の変化を背景とする様々な税制改正が行われてきましたが、平成6年には、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、中堅所得者層を中心に税負担の累増感緩和のため、所得税・個人住民税の累進税率の緩和等とともに、消費税率(国・地方)を平成9年4月から5%へ引き上げる税制改革が行われました。
平成16年からは地方分権を一層推進することを目指した「三位一体の改革」が
進められ、国から地方へ3兆円規模の税源移譲を行うために所得税及び個人住民税の税率構造が平成19年分から見直されました。
近年では、平成24年に社会保障の充実・安定化と財政健全化の同時達成を目指す「社会保障と税の一体改革」の下で、平成26年度以降、消費税率(国・地方)
を5%から10%へ段階的に引き上げることとされました。また、平成25年には
格差固定化の防止や再分配機能の回復の観点から、所得税及び相続税の最高税率
の引上げ等が行われ、平成27年分から適用されています。
さらに、平成27・28年度に実施された成長志向の法人税改革では、外形標準課税の拡大や政策税制の見直しなどの課税ベースの拡大により財源を確保しつつ、
税率の引下げが行われ、平成28年度には法人実効税率20%台が実現しており、
成30年度には29.74%まで下がることとなりました。
このように、その時々の経済社会の構造変化に応じた税制の見直しが行われてきましたが、我が国は現在もそうした構造変化に直面しています。
池袋 税理士・豊島区 税理士の久米会計事務所
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